優良工事店ネットワーク立ち上げ時の話

今でこそ、多くのお客様からご依頼を頂けるようになりましたが、この『優良工事店ネットワーク』が誕生するまでには、様々な道のりがありました。
最近、会員様から、どうやってこの会が始まったのか?
という質問を受けることが多くなりましたので、そのほんの一部をご紹介させて頂きます。

発足当初、この会の運営スタッフは、たった二人しかいませんでした。


もちろん、その内の一人が私なのですが、私たちは、元々、大手リフォーム会社で営業マンとして共に働いていました。 家作りが本当に好きで、純粋な気持ちで住宅リフォーム業界に入り、入社二年目には、それぞれが一つずつ営業所を任され、 正直そのまま会社にいれば、将来も安泰だったと思います。


本当にこんなリフォームをやりたかったのだろうか?


しかし、ある時から自分達の仕事に対して、 いくつもの疑問を抱くようになっていました。

例えば、契約をもらうために、下請けの職人さん達のコストを切り詰めたり、 それが原因で、職人さん達は手間や材料を省かざるを得なかったり、会社の都合で、莫大な広告費や人件費を回収するために、 相当な利益が上乗せされた見積書をお客さんに出さなければならなかったり…。

また、私たちはお互いに営業所長という立場にあったため、 多くの後輩社員を指導する立場にありました。

しかし、純粋な期待と希望を胸に入社したばかりの新入社員に対して、コストの切り詰めや利益の上乗せなどの実情は、 とても胸を張って教えられる内容ではありませんでした。

本当にこんなリフォームをやりたかったのだろうか?


いつの間にか、自分達の仕事に対して、「本当に人の役に立っている」という自信と誇りが持てなくなっていました。

このまま仕事をしていても、 決して自分達が納得のいくリフォームは出来ない…。
私たちは夜も眠れないくらいに悩み続けました・・・。


リフォーム環境を改善できるかもしれない・・・。


お客様が、最小の費用で最大の満足を得ながら、 工事店も温かい気持ちで質の高い工事を提供できる。
そんな環境を社内で創れないだろうか?

私たちは仕事が終わった後、毎日のように深夜まで語り合い、消費者と地元の工事店を直接結びつける方法を模索しました。

そして、たどり着いたのが、現在のこのシステムだったのです。
消費者の方と優良な工事店を直接結び付ける。
そうすれば、中間マージンが無くなって消費者の負担も少なくなるし、工事店も仕事に見合った最低限の利益を確保できるようになる。

コストの切り詰めもないから、手抜き工事もなくなり、必然的に工事の質も上がる。
本当の意味で、消費者と工事店の利益を両立できる。

「この仕組みであれば、今のリフォーム環境を改善できるかもしれない」

確信はありませんでしたが、 私たちの中に明確な社会的使命が生まれた瞬間でした。
しかし、当然のことながら、会社に籍を置いたまま、 この使命を実現することは出来ません。

私たちは、これまで自分達を温かく育ててくれた会社のことを愛していました。

良い上司と仲間達、そして何よりも良いお客様に恵まれていました。会社を辞めれば、安定した将来は望めません。
それに、自分達のアイデアが実現可能なのかどうかも分かりません。

しかし、理想を実現させるためには、会社を辞めるしかありません。

まさに苦渋の選択でしたが、私たちは悩みに悩んだ結果、自分達の中に生まれた使命感だけを頼りに退職を決意し、様々な思いを胸に辞表を書きました。


出過ぎた真似をしたら、上から睨まれるよ・・・。


会社を退職した翌日。
早速、私たちは、安アパートの1室を事務所にして活動を始めました。

お付き合いのあった設計士さんや建築士さんの紹介で、腕が良いと評判の職人さんや工事店さんを一軒一軒訪問して、参加を呼び掛けたのです。

しかし、行く先々で聞かされる返事は、どこも同じでした。

「下請け専門の私たちが、君達と一緒になって出過ぎた真似をしたら、上から睨まれるよ・・・」。

元請け・下請けという建築業界独特の慣習と構造が足かせになって、工事店さんも、元請けに転身する覚悟を決められないでいたのです。

それともう一つ、工事店さんがなかなか首を縦に振らない理由が、私達が掲げた大原則にありました。

それは、「実際にリフォームをしたお客様からの評価の集計によって、工事店の紹介順位を決定する」というものです。

つまり、全ての参加工事店に、平等にお客様を紹介するのではなく、消費者評価の高い工事店さんにのみ、次のお客様を紹介するというルールです。

このルールは、今後消費者が安心してリフォームを依頼できる環境を作るために、絶対に欠かすことが出来ないものだと、私達は考えていました。


しかし、工事店さんにしてみれば、このルールに従うには相当の覚悟と自信が必要になります。

このような事情から、2ヶ月間無休で訪問して廻ったにも関わらず、参加を決めてくれた工事店さんは一軒もありませんでした。

「想いは必ず伝わる」と信じ、お互いに励ましあいながら頑張ってきましたが、収入はゼロ、貯金も底を付く寸前という状態でさすがに気分も滅入っていきました。 精神的にも経済的にも限界が近付き、ふと気付くと季節は秋になっていました・・・。


やっと、元請けに転身する踏ん切りがついたよ!


そんな時、訪問先が無くなり、アパートの一室で 今後のことを話し合っていると、一本の電話が鳴ったのです。

以前に訪問した工務店の社長さんからでした。

「利益を何重にも上乗せする今のリフォーム業界は、異常だと思う。 それに、君達が言うように、我々工務店の評価はお客様が決めるものだ。 やっと、元請けに転身する踏ん切りがついたよ。 私に出来ることがあれば、ぜひ力になりたい!」


遂に、遂に、想いが届いた・・・!私達は二人で飛び上がって喜びました。

この社長さんは、その後すぐに知り合いの工務店を数社紹介して下さり、ほどなく4社が新たに参加してくれました。

それにしても、「実績」とは不思議なものです。
この5社の参加をきっかけに、その後は、今までの苦労が嘘のように 参加を希望する工事店が増え続けていきました。

私達が蒔き続けた種がようやく芽吹き始めたのです。
そして、小さな目が段々と成長し、しっかりと根を張っていく・・・。

そんな予感に、私たちは胸が熱くなりました。

こうして、『優良工事店ネットワーク』は生まれました。

消費者と工事店にとって決して有益とは言えない現在のリフォーム環境を、直接の取引の拡大によって改善し、消費者と工事店の双方の利益を実現していくこと。 これが当会の社会的使命です。

発足からまだ4年足らずですが、会員のお客様からは非常に高い評価を頂き、 職人さんや工事店さんからも大変喜ばれ 「本当にこの会を立ち上げて良かった」 心の底からそう思える環境になりました。

徐々に、県外の消費者や工務店さんからもお問い合わせを頂くようになり、福岡から始まった私たちの小さな取り組みは大きく拡がりつつあります。

全国の様々な場所で、職人さんや工事店さんとの良き出逢いがあり、 毎年活動エリアは増え続け、 現在は、関東・関西地区を含めた全国18エリアで活動を行っています。

また、様々な意見やアドバイスを 各先生方や建築業界の各方面からも頂戴し、『優良工事店ネットワーク』は多くのお客様に喜んで頂ける組織に成長しつつあります。

これからもスタッフ一同、初心を忘れることなく「リフォーム環境の改善推進」を合言葉に、 私たちにしかできない価値のある活動を続けて参ります。

今後とも、皆様方のご愛顧を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。